bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

随伴関手の応用 - Haskellでの実現例

8.8 Haskellでの実現例 HaskellはHaskと呼ばれる一つの圏で構成されるため、二つの圏を必要とする随伴の例を見ることは少ない(往々にして、関手でHask圏の外に出てしまう)。しかし、積と関数はともに相手方への関手であるため、例外的にHaskellでの随伴の…

随伴関手の応用 - モナドとしての随伴関手

8.7 モナドとしての随伴関手 今回は、随伴がモナドであることを示そう。二つの局所的に小さな圏\(\mathcal{C},\mathcal{D}\)において、関手の対\(R: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{D}, L: \mathcal{D} \rightarrow \mathcal{C}\)が次の条件を満たす時…

随伴関手の応用 - モノイドとしての随伴関手

8.6 モノイドとしての随伴関手 随伴関手の応用についていくつか説明してきたが、アダルトとベビーの例を始めとしてこれまでの例ではすべて、左側の圏の方が厳密であることに気がついただろう。今回の例も同じである。左側がモノイドを対象にした圏、右側…

シェフから教わった「鶏の煮込み、猟師風」を作る

よく利用している飯田橋の隠れ家風のイタリアン・レストランから宿題として新しいレシピを頂いた。タイトルは、「鶏の煮込み、猟師風」となっている。A4一枚に、上の方に出来上がった時の写真がのっていて、それに続いて2人前の材料が、そして下の方に作り方…

随伴関手の応用 - 写像対象としての随伴関手

8.4 写像対象としての随伴関手 写像対象は次のように定義される。対象射 \begin{eqnarray} eval : B^A \times A \rightarrow B \end{eqnarray} を有する対象\(B^A\)が写像対象であるとは、任意の対象\(X\)と射\(g: X \times Y \rightarrow B\)に対し、射 …

随伴関手の応用 - 積としての随伴関手

8.3 積としての随伴関手 \(\mathcal{C}\)は対象\(A,B\)を有する圏とする。\(A\)と\(B\)の積は、\(A \times B\)と書かれる\(\mathcal{C}\)の対象と二つの射\(fst : A \times B \rightarrow A \)および\(snd : A \times B \rightarrow B \)との組で、以下の…

随伴関手の応用 - 随伴関手を理解するための比喩

8.2 随伴関手を理解するための比喩 比喩(Metaphor)は難しい概念を理解する助けをしてくれる。随伴関手は高度に抽象的な概念なので、理解しやすくするためには、やはり優れた比喩を必要とするだろう。David Spivakがその著書『Category Theory for the Sci…

随伴関手の応用 - 自然変換の合成

8 随伴関手の応用 圏論の創始者はソーンダース・マックレーン(Saunders Mac Lane)とサミュエル・アイレンベルグ(Samuel Eilenberg)だ。1942年から45年にかけて、代数的位相幾何学(Algebraic Topology)を研究する中で、関手や自然変換などの圏論の概念を生み…

重要文化財クラスの中空土偶を横浜市歴史博物館で展示

毎日新聞の記事によれば、秦野市の菩提横手遺跡で貴重な中空土偶が発掘されたということで、横浜市歴史博物館に見学に行った。入口からり、受付の横の階段をのぼると常設館への通路がある。その壁面に沿って、2018年度のかながわ考古学財団の調査で発見され…

さっぱり味の竹の子メバルのアクアパッツァ

今年は例年になく梅雨の開けるのが早く、毎日猛暑が続いている。このような時こそ、天城高原に行って涼を取るのがよいのだが、東京に大事な用事があるために、残念ながら最善な策をとることができない。仕方がないので、夕飯を楽しむことにした。いつも行く…

アデライン、100年目の恋

今回、日常的な言い回しが分かる例として利用する映画は『アデライン、100年目の恋』だ。英語のタイトルは”The age of Adaline”だ。主役はブレイク・ライブリー。2007年放送開始のテレビシリーズ『ゴシップガール』でブレイクした女優だ。恋人をマイケル・ユ…

プログラマのための圏論:上級編(上)

『プログラマのための圏論:上級編(上)』はこれまで、プログラマのための圏論(上級編)で説明してきたことをまとめました。圏論での重要な概念である、極限、米田の補題、随伴関手についてまとめてあります。

レーズン入りパウンドケーキを作る

パウンドケーキは、小麦粉、バター、砂糖、卵を1ポンドずつ用いることから、その名がつけられたそうだ。1ポンドは454gだが、このまま作ると4本ぐらいのパウンドケーキができてしまうので、今日はそれぞれを100g用いることにする。卵は50gを少し上回るぐらい…

伊豆半島ジオパーク ー 城ケ崎を訪れる

28日(月曜日)に伊豆半島の城ケ崎を訪れた。この半島は今年4月18日にユネスコから「世界ジオパーク」に認定された。伊豆半島は、フィリピン海プレートにのって南の方からやってきた火山島が日本列島にくっついて生まれた。火山によって作り出された地形が地質…

随伴関手 - 随伴関手をHaskellで表現する

7.8 随伴関手をHaskellで表現する 随分と時間がかかったが、随伴関手をHaskellで表現するための準備がほぼ出そろった。ほぼといったのは、もう一つだけ、頭の体操をしておかなければならないことがある。それは、右随伴関手が表現可能関手でもあるという…

随伴関手 - 随伴の別定義

7.7 随伴の別定義 1)別定義 随伴の定義にはこれまでと異なる方法がある。それは次のように定義される。\(\fbox {随伴の定義2:}\) 二つの局所的に小さな圏\(\mathcal{C},\mathcal{D}\)において、関手の対\(R: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{D}, L:…

随伴関手 - 随伴から導き出される可換図

7.6 随伴から導き出される可換図 随伴の定義からどのような可換図が導きだされるかを考えてみよう。随伴の定義は次のようになっている。二つの局所的に小さな圏\(\mathcal{C},\mathcal{D}\)において、関手の対\(R: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{D}, …

随伴関手 - 随伴の解釈

7.5 随伴の解釈 随伴の定義は次のようになっていた。二つの局所的に小さな圏\(\mathcal{C},\mathcal{D}\)において、関手の対\(R: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{D}, L: \mathcal{D} \rightarrow \mathcal{C}\)が次の条件を満たす時、随伴であるという…

随伴関手 - 随伴の定義

7.4 随伴の定義 数学で最も重要な概念はと問われた時、皆さんは何と答えるだろうか。私は、「等しい」だと思う。算数から数学へと教科の名前が変わり、少し大人になったと感じさせてくれた中学で、すぐに習ったのが三角形の合同であった。ある三角形を移…

プロから教わった「鯵のソテー」を母の日に挑戦する

5月13日は母の日。実母も義母もすでに他界していて、感謝する対象は既にいないのだが、母として長いこと子供たちの養育に尽くしてくれた妻に感謝を込めて、特別な料理をプレゼントした。「鯵のソテー」だが、プロの方から教わった特別な料理だ。この方のお店…

随伴関手 - 米田の埋め込み

7.2 余米田の補題 米田の補題では、共変\(\rm{Hom}\)関手\(\mathcal{C}(A,-)\)を用いていたが、これを反変\(\rm{Hom}\)関手\(\mathcal{C}(-,A)\)に変えたのが、余米田の補題となる。次のようになる。局所的に小さな圏\(\mathcal{C}\)と集合の圏\(\mathcal…

随伴関手 - 米田の補題:復習

7 随伴関手 7.1 米田の補題:復習 米田の補題は次のようになっていた。局所的に小さな圏\(\mathcal{C}\)と集合の圏\(\mathcal{Set}\)、これらによって作られる関手圏\([\mathcal{C},\mathcal{Set}]\)を考えよう。今、任意の対象\(A \in \mathcal{C}\)と…

横浜三渓園を訪ねる

少し肌寒く感じられる昨日(23日月曜日)、横浜市にある三渓園を訪ねた。肌寒いと言っても、実は、平年並みの気温だ。土曜、日曜と夏日だったので、相対的にそのように感じただけだ。気候変動がカオス的であるとすると、三つの状態がある。安定的、振動的、ラ…

米田の補題 ー 集合値関手を積として表す

6.6 集合値関手を積として表す 米田の補題は次のようになっていた。局所的に小さな圏\(\mathcal{C}\)と集合の圏\(\mathcal{Set}\)、これらによって作られる関手圏\([\mathcal{C},\mathcal{Set}]\)を考える。任意の対象\(A \in \mathcal{C}\)と任意の関手\…

鎌倉に足利氏ゆかりの寺を訪ねる

鎌倉の春はきれいだ。特に桜の咲くころは素晴らしいのだが、観光客の多いのにはうんざりさせられる。鎌倉時代や室町時代に関する歴史の書物を読み漁ったので、久しぶりに訪ねてみたいと思っていた。桜がすでに散ってしまった昨日(9日)、ゆっくりと見学できる…

米田の補題 ー 継続渡しのプログラム

6.5 継続渡しのプログラム 1980年代後半に情報科学を学んだ人々にとって、アベルソンとサスマン夫妻が書かれた『計算機プログラムの構造と解釈』は思い出に残る本だったと思う。私も、情報科学の中でどれが最も良い本であったかと問われればこの本をあげ…

米田の補題 ー Haskellで理解する

6.4 Haskellで理解する 米田の補題の補題を下図の可換図を用いて説明した。Haskellを用いてさらに理解を深めることとしよう。 Bartosz Milewskiさんが上手に説明しているので、それを借りることにしよう。\({\rm Hom}\)関手を作成しよう。\(Reader\)のデ…

御殿場線山北駅で桜並木を楽しむ

今年は、桜が開花してから、暖かいというよりも暑い日が続き、あっという間に満開となってしまった。まごまごしていると、良い時期を失ってしまいそうだ。今日(29日)も天候に恵まれたので、少し遠くでさらにマニアックだが、御殿場線の山北駅に出かけた。山…

川崎市の日本民家園を訪ねる

川崎市の日本民家園が50周年を迎えていて、その記念のコンサートをしたという記事を週末に見た。春の温かい日差しに恵まれ、また、懐かしさも手伝って、昨日(27日)訪れた。田園都市線と南部線が交差する溝の口から向ヶ丘遊園行のバスを利用した。最近のバス…

米田の補題 ー 証明

6.3 米田の補題の証明 前回の記事で米田の補題を提示した。米田の補題は次のようになっていた。局所的に小さな圏\(\mathcal{C}\)において、\({\rm Hom}\)関手\(h^A: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{Set}\)から、集合値関手\(F: \mathcal{C} \rightarro…