bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

ポーチトエッグ(落し卵)

1.朝はポーチトエッグで

泊まったお客さんのために、珍しい卵料理を試みた。ポーチトエッグ(Poached Egg)である。これもオーストラリア人のマイクから教えてもらった。彼はイギリス育ち、イギリスで博士号まで取って、オーストラリアの大学にポスドクでやってきた。そこで、運命的にめぐりあったのが、当時、演劇を学んでいたジェニーである。

彼女は絶世といってもいいくらいの美人。三人姉妹の末っ子で、お姉さんの一人は俳優。フランス系ドイツ人だそうで、両親はアルザス地方の出身。フランスとドイツを何度も行き来した複雑な歴史の地域である。オーストラリアに来て農業を営んだが、オーストラリアの悩みは水である。都市部では水道は普及しているが、一歩、郊外にであると水道はない。日本のように地下水も流れていないので井戸を掘るわけにはいかない。そのため、どの家も屋根に降った雨をためるための大きなプールを所有してる。オーストラリアは年がら年中渇水に悩まされており、プールの水がなくなると命の問題となる。このため、彼女の一番好きな天気は雨。晴れは大嫌いである。日本では考えられないことである。

彼女の子供時代は、一家の食料を賄うために、羊を毎月一匹ずつ始末する必要があった。しかし、家族のだれもが嫌がったので、それは彼女の仕事となっていた。美しい顔からは想像できないたくましさを持っている。ジェニーの美しさに魅せられたマイクはオーストラリアに留まることになり、今では副学長になっている。彼が日本に遊びに来たときに教えてくれたのがポーチトエッグである。

ポーチトエッグの作り方はそれほど難しくはない。小鍋にお湯を沸騰させる。沸騰したところで、塩少々と酢を少し入れる。酢は卵の白さを保つためである。次に、卵を割ってコップ(茶碗)に入れる。
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弱火にして、小鍋の中で水流がない状態にする。コップの中の卵を滑らせるように、小鍋に入れる。この瞬間で形の良しあしが決まる。ちょっとスリリングな瞬間である
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3分間熱して、穴の開いたスプーンで卵を取り出し、お皿に移す。カリカリに焼いたベーコンを一緒に付けてあげるとレストラン並みの朝食になる。
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