bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

寒くなったらボルシチ

野菜売り場の店頭でビーツを見かけることが多くなった。先日のテレビによれば、昨年に比べて7倍も売り上げが増えたと野菜売り場の担当者が伝えていた。

ビーツは、英語ではbeetrootという。赤蕪とも聞いていたので、カブの一種かと思っていたが、そうではない。ビーツはアカザ科なので、ほうれん草や甜菜の仲間だそうだ。ビタミンや鉄分を多く含むということで、健康野菜として注目され、近年、使う人が増えてきたようである。

ビーツを使った料理と言えば、ボルシチだ。ロシア料理として紹介されることが多いが、本当は、ウクライナの家庭料理である。ソ連邦から分離したウクライナは、クリミア半島の帰属をめぐって、一昨年ロシアと激しく対立したことは、まだ、記憶に新しい。首都はキエフで、世界史の教科書にも出てくる都市だ。一度は訪れてみたいと思っている古都だ。

本格的なボルシチの料理を食べたのは、17年も前のことになる。同僚のロシア人、実は、ウクライナの出身だった彼を蓼科へ招待したことがきっかけである。そのときのお礼にということで、彼の家に招かれた時に、やはりウクライナ出身の奥さんの手料理であるボルシチをご馳走になった。素晴らしい味であったが、それにもまして、鮮やかな赤がとても印象的だった。

ビーツの話をあちらこちらで聞くうちに、色彩が印象に残っていた料理の思い出がよみがえり、一度作ってみたいと思うようになった。本来ならば、彼の奥さんからレシピを聞けばよいのだが、急に思い立ったので、日本語と英語の料理関連のホームページを手繰っての作品となった。本格的とはいかないかもしれないが挑戦した。

シチューを作るのと同じ要領なのだが、ビーツとサワークリームを使うことに特徴がある。以前にビーツを見かけたことのあるお店に出かけたが、残念ながら手に入れることができず、今回は缶詰を用いることにした。

例によって、今回の料理の仲間たちだ。
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主役のビーツが缶詰の中に納まっているのは残念だ。ビーツそのものは相当に硬そうな根菜なので、缶詰を用いれば下ごしらえの手間を省ける。最初のステップとしては悪くない選択だ。

最初は、スープの素を作る。カレー用の牛肉(250g)を湯通しして臭みを抜く。
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湯通しした熱湯は捨てて、牛肉が残った鍋に水(900cc)とマギーブイヨン(1個)を加えて、15分ほど煮る。
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この間十分な時間があるので、野菜の下ごしらえをする。セロリ(1/2本)とキャベツ(1/4個)は1cm幅に切る。トマト(2個)は熱湯をかけて湯むきをした後、ざく切りにする。ジャガイモ(2個)は一口大に切って水に浸しておく。

さらに、玉ねぎ(1個)とニンニク(1片)はみじん切りにする。
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別のフライパンを用意して、バター(2個、大さじ2程度)と玉ねぎ、にんにくを加える。
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これを、野菜に透明感が出るまで炒めて、赤ワインビネガー(大匙2杯)、砂糖(小匙1杯)、塩(小匙1/2杯)を加えて、ひと煮たてする(ビネガーが嫌いな場合には赤ワインで代用)。
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これを、牛肉を15分間煮た鍋に加える。
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さらに、キャベツ、セロリ、トマトを加える。
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そしてこれを10分ほど煮る。この間、時間があるので、ビーツの下ごしらえをする。
ビーツは缶詰半分ほどを用い、少し太めにせん切りにする。
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煮終わったところで、
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ビーツとジャガイモ、さらには缶詰のビーツの汁(半分)を鍋に加える。
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ジャガイモに味がしみ込んだ方がおいしくなるので、最初は中火でその後弱火にして30分ほど煮込む。
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出来上がったボルシチを器に移し、この上にパセリを加え、さらに、サワークリーム(90cc)と生クリーム(50cc)を混ぜたものを適量(大匙1-2杯)加える。
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サワークリームの味と、少しコリコリするビーツがまじりあって、おいしくいただけた。

少し残ったので、今朝もいただいた。ビーツの赤とサワークリームの白が混じりあい、ピンク色となったボルシチは見た目にもきれいだ。
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今度、機会があれば、同僚のウクライナ出身の奥さんにレシピを伺い、本格的なボルシチに挑戦してみたい。