bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

恋人までの距離(Before Sunrise)-再会を期しての別れの場面

ジェシーセリーヌはウィーンの街へと繰り出す。かつてはハプスブルグ家がこの地に居城を開きヨーロッパの中心となっていた。さぞかし、有名な遺跡を巡るのかと思うとその期待は裏切られる。そう、二人にとっては観光旅行ではなく短いが楽しい時間そして愛をはぐくむときなのだから、会話だけがずっと続き景色は流れていく。
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プラーター公園で思い出に残る一晩を過ごした二人にも別れの時が来る。再びウィーン中央駅。エリーヌがパリへ向かう列車に乗り込む時二人は次の再会を約束する。
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いよいよ、別れの時が近づいてくる。二度と会わないと決めていたジェシーだが、それに耐えられなくなって切り出す。
“We're talking about not seeing each other again? I don't want that.”
「二度と会わないといっているけど、そんなの嫌だ」
セリーヌもそれに応じて、
“I don't want neither.”
「私もよ。」と言う。ジェシーは反復して、
“You don't neither?”
「あなたも。」と確認する。
“I waited for you to say it.”
「そう言ってくれるのを待っていたの。」とセリーヌが付け加える。
“Why didn't you say something?”
「なぜ言ってくれなかったの。」とジェシーがなじる。
“I was afraid you didn't wanna see me.”
「もしかして私に会いたくないではと考えてしまって聞けなかったの。」と微妙な心の動きを伝える。

そして、ジェシーは再会を約束するために切り出す。
“What do you wanna do?”
「それではどうしたい。」とジェシーは尋ねる。
“Maybe we should meet here in five years or something.”
「5年後ぐらいにここで会うのはどうかしら。」とセリーヌが提案する。ジェシーは即座に、
“Five years? That's a long time.”
「5年後。それは長すぎるよ。」と答える。
“it's awful. It's like a sociological experiment. How about one year?”
「そうよね。社会科学の実験みたいだわ。それでは1年後はどう。」と再提案する。
“One year. How about six months?”
「1年後。」ともう少し何とかならないかなあという姿勢をジェシーが示し、「6か月後では。」と新たな提案をする。
“Six months? It's gonna be freezing.”
「6か月後。凍てつくような寒さじゃない。」とセリーヌが躊躇する。
“Who cares? We come here, we go somewhere else.”
「誰がそんなこと気にするの。ここに来て、どこかに行けばいい。」
ジェシーが答えて次に会うことを約束する。さらに細かい時間や場所の取り決めをした後、会うときまではお互いに連絡を取り合わないことを約束して別れる。
別れの跡の画面が続く。その中の一つ。セリーヌが去った後の駅の様子を構外から見ているところ。
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さて、二人は6か月後に会えたであろうか。この続きは次作の『Before Sunset』で紹介されている。