bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

冬の「よこはま動物園ズーラシア」を見学する

冬の動物園を訪れてみたいと思う人はそれほど多くないだろう。木枯らしが吹く中を、何時間も歩いて回るのはモノ好きの部類に属すだろう。動物たちも、暑い地域出身が多いだろうから、屋外で観客を迎えるよりも、室内で暖を取りながら休んでいる方が快適に違いない。我々も、木曜日(2月7日)が4月並みの暖かさになるという天気予報が出るまでは、動物園を訪れてみようなどとは考えもしなかった。思いがけず、外出日和の日が訪れるというニュースをきいて、近くにありながら訪れる機会のなかった「よこはま動物園ズーラシア」に行くことにした。

ズーラシアは都市型の動物園としては大きい方だ。上野動物園が14ha、多摩動物公園が60ha、東武動物公園が61ha、野毛山動物園が3.3haだ。そしてズーラシアは50haだ。ここは7つのゾーンに分けてあり、地域・気候帯別に生育環境を再現しているとのことだった。

訪れた日は17度まで気温が上がることが予想されていたので、我々と同じように動物園に行こうと考えた人もいたのだろう、思いのほか幼児連れの家族が多かった。幼稚園に入園する前の幼児と、その母親、さらにおじいさん・おばあさんというグループが圧倒的な比率だった。そして、わずかな比率で大学生のカップルが混じっていた。大学入試のために早々と春休みに入った私立大学の学生だろう。一組のカップルは、我々と行動パターンが似ていたのだろう。最初から最後まで我々の前後を見学していた。そして我々と同じ定年後の老夫婦がわずかに見かけられた。

正面の入り口から入場すると、最初のゾーンは「アジアの熱帯林」だ。最初にお出まししてくれたのは動物園の象徴ともいうべき象だ。ズーラシアはゆったりと造られているので、動物たちの動きが自然だ。ここの象はインド象だ。インド北東部や南部の草原に住んでいて、長老のメスを中心に母系家族群をつくり、オスは単独か数頭で行動するそうだ。
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象の次はフランソワルトンだ。ベトナム北東部や中国南部の鉱山の森林に生息するオナガザルの仲間だ。群れは1頭のオスと複数のメスとその子供からなり、メスが優勢な母系家族だ。
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ライオンと言うとアフリカと思われがちだが、ズーラシアにはインドライオンがいた。
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「アジアの熱帯林」にお別れをして、これからは「亜寒帯の森」のゾーンだ。最初はカモシカの仲間のゴールデンターキンだ。中国の中央山岳地帯に生息し、群れは家族群で1頭のオスが複数のメスを率いている。
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レッサーパンダアムールヒョウをみて、ユーラシアカワウソへと歩を進めた。水中での動きが速すぎて、写真に収めるのが難しかった。
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フンボルトペンギンもひょうきんに我々を出迎えてくれた。ペルーからチリの沿岸部で生息する彼らにとってこの日は暑すぎたのではと感じられた。
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ミナミアフリカオットセイも水の中を楽しんでいた。
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ホッキョクグマだ。
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さらに進んで、「オセアニアの草原」だ。ニューギニア島の中央から東部に生息するセスジキノボリカンガルーだ。珍しいことに樹の上で生活している。
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さらに進むと「中央アジアの高地」だ。テングザル、チベットモンキーを見て、ドールだ。ここではタイミングよく職員の方が説明してくれた。かつては30頭もいたが、繁殖が難しかったため、今では3頭になっているそうだ。動物園を維持することの難しさを教えてもらった。
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隣にはモウコノロバ。馬科の中では一番小型だそうだが、力が強く記憶力もよいことから古くから家畜として使用されていたそうだ。体高は117~142cm、体重は260kgだそうだ。
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ここで「中央アジアの高地」にお別れをして、次は「日本の山里」だ。最初はコウノトリ。江戸時代までは何処にでもいて普通に見られたそうだが、戦後絶滅し、そのあと人工繁殖によって増加し、最近では200羽を超えているそうだ。
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コウノトリはタンチョウと間違われることが多かったそうであるが、その横には、やはり紛らわしいクロズル・マナヅルが生活していた。

ツシマヤマネコは夢を見ていた。
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アナグマ、タヌキ、キツネ、ニホンザルをみたあと(ツキノワグマは本日は休養日とのこと、見ることはかなわなかった)、「アマゾンの密林」に入る。ここでの目玉はカピバラだろう。但し、日本の冬は彼らには向かないのだろう。暖を取って静かに寝ていた。
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イヌやサルなど数種類の動物を見た後、「アフリカの熱帯雨林」へと向かう。ここの見どころはキリン科のオカピだ。残念ながらいいポーズをしてくれなかった。
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こちらは、アカカワイノシシだ。
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類人猿のチンパンジーだ。人類に最も近い種だ。
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そして、最後のゾーンである「アフリカのサバンナ」へと向かった。疲れも出てきたし、お腹もすいてきたので、まずはレストランに入って一休みした。隣の席を見ると、老夫婦が孫と一緒にいた。しかし何となく孫との接し方がしっくりといってないように感じられた。そうこうするうちに、お母さんと思われる人がトイレから戻ってきた。化粧の仕方がユニークだなと感じた。老夫婦とは笑顔を交わすことはあるが、言葉を交わさない。赤ちゃんには話しかけているのだが、その言葉は老夫婦には伝わっていないようだ。国際化が進んだこの頃では、このようなことは日常的に見る光景だが、身近で実感することはそれほどで多くはない。帰り道では、タイからと思われるグループにすれ違った。冬の動物園も外国人の観光コースの一つになったのかと強く印象づけられた瞬間でもあった。
食事をとった後、「アフリカのサバンナ」のゾーンを見学した。サイ、ミーアキャット、ライオン、キリンなど見慣れた動物たちに会った。
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そして14時半に退園した。10時近くに入園したので、休憩を含めて4時間半の見学であった。待ち時間もなく、十分に時間をかけてゆっくりと見ることができ、大いに楽しんだ一日であった。オフシーズンの小春日和の日には、このような場所を訪問するのがよいと改めて納得し、ズーラシアを後にした。