bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

我が家の定番になりだした「だし巻き卵」

正月気分もそろそろ終わり。昨日(7日)の朝は七草がゆを食べて、正月との折り合いをつけて、今年の活動を開始する。

この日は、川崎の等々力緑地にある市民ミュージアムに講演を聞きに行く。暮れにも参加したので、連続で「かながわの最初の現代人」の話を伺った。前回は、国立科学博物館海部陽介さんだった。テレビでも何度か紹介されているが、与那国島から西表島、そして、台湾から与那国島へ、3万年前の先祖たちの航海を再現するプロジェクトを推進されている方だ。
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この方を知る切っ掛けになったのは、彼の著書の『日本人はどこから来たのか?』である。遺跡に残っている人骨のDNAを利用して、いつ頃、どのような経路を辿って、日本に到着したかを解説した本である。
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技術の進歩によって化石からDNAを抽出する方法は、最近では随分と簡単になってきているようだが、初期の頃の涙ぐましい努力は、前にも記事で紹介したが、スヴァンテ・ペーボ著『ネアンデルタール人は私たちと交配した』(野中香方子訳)に書かれている。少し刺激的なタイトルだが、内容の方は真摯な研究姿勢が伝わり、好感の持てる本であった。これがきっかけになって、太古の昔の人類の移動に興味を持つようになったが、タイミングよく出版されたのが海部さんの著書であった。著者はどのような方なのかということを知りたくて前回お話を伺いに行った。

それを受けての今回の講演だが、お話をしてくれたのは東京大学教授の佐藤宏之さんで、題名は「神奈川の歴史の始まり:考古学から見た日本列島における現代人の出現」である。タイトルの方は、神奈川の歴史の始まりとなっていたが、日本についてであった。後期石器時代における人類の営みがどれだけ環境に影響されたかということを丁寧に説明され、なるほどと納得した(正月にジャレド・ダイアモンド著『銃・病原菌・鉄』を読み、文明の発達にどれだけ環境が大きく作用するかを理解した直後だったこともあり、分かりやすい内容であった)。
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氷河期と呼ばれる最終氷期最寒冷期(25,000-20,000年前)は、最も寒い時代であった。この時期は、後期石器時代の後半期の中に含まれる。日本の東半分はシベリアアムール川下流域の植生と、西半分は北海道東部と同じだった。このため、どんぐり・クリなどの有用な植物はなく、動物を中心とした狩猟生活だけが営まれた(植物を採取するという生活は成り立たなかった)。

最終氷期最寒冷期が始まるころにはマンモス(北海道・東北の一部)やナウマンゾウなどが、また、終わるころにはオオツノシカなどの大型動物が絶滅した。これら大型動物は、大量の食糧を求めて広範囲に移動する。このため、この当時は、人間もこれと一緒に広く移動した。しかし、最終氷期最寒冷期が終わると大型動物は皆無となり、狭い範囲を移動する中小動物だけになり、人間の移動範囲は縮まった。これが、後期旧石器時代の狩猟生活の大きな流れである。

話の中で、関心を持ったのが落とし穴猟である。旧石器時代は、動物を追っての狩猟生活である。最終氷期最寒冷期の植生を詳しく見ると、九州や関東の南部に、狭い範囲であるが、落葉広葉樹や常緑広葉樹の林がある。これらの地域では、どんぐり・クリなどの実を採取しての定着活動が行われただろうと想像される。この定着生活に伴って、何とも面白い生活の仕組みが生まれる。それが第二東名の工事現場(静岡県)での落とし穴の発見である。この時期の落とし穴は、世界にも類がないそうである。昨今の大型開発によって、大規模な掘り起しが行われ、沢山の遺跡が発見され、考古学は年ごとに進歩しているそうである。何とも古い学問だと思っていたのだが、最も活気のある時代を迎えているようだ。

例によって、前振りが長くなった。我が家の朝食として定着してきたのが、落とし穴ではなく、「だし巻き卵」である。これは子供のお弁当の定番の一つだろう。それぞれの家ごとに作り方が違う。このため、お昼の時間になると、思わず隣の人の弁当箱をのぞき込んで、羨ましく思ったり、安心したりする。

それでは、我が家の定番になりつつあるだし巻き卵を紹介し、皆さまに比べてもらうことにしよう。

例によって、役者に登場してもらおう。いつもとは異なり、少数精鋭だ。卵、長ネギ、白だし、砂糖、水だけだ。長ネギは色々な料理に使うので細切りにし、冷凍保存すると便利だ。
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卵(3個)は割ってお椀に入れる。また、白だし(小さじ2杯)、砂糖(小さじ1杯)、水(大さじ3杯)を別のお碗に入れよく混ぜる。
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卵は泡だて器を用いて白身の塊がなくなるまでよくかき混ぜる。
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かき混ぜた卵が入っているお椀に、白だしを薄めた液を加え、さらに、長ネギも加える。これで準備は完了である。
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焼くときは少し工夫しないといけない。卵はクルクルと巻いていくので、いっぺんには焼かず、少しずつ何回か繰り返す(3,4回になるが、これは進行の中で決めればよい)。
卵焼きフライパンに、卵を薄く引く。
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表面が焼きあがったか焼きあがらないか程度のところで卵を巻く。丸く巻いても、四角く巻いても構わないが、今回は四角くなるようにした。
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再び、卵を薄く引く。
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卵の様子を見て、前回と同じぐらいになったところでまた巻く。
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同じことをもう一回、あるいは、二回繰り返す。これは、卵の残り具合によって判断する。今回は、もう一回だけであった。巻いたときの写真は以下の様である。
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これを食器に移し、朝の食卓に加える。
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