bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

左足の疼痛と闘う

20日ぐらい前になるが、目覚めたとき左足がなんとなく重いように感じられた。歩くと痛みを感じる。この日は、オーストラリア人の夫妻と15年ぶりに会うことになっている。娘さんを伴って、3週間の日本旅行を楽しんでいる最中である。何の前触れもなく、長野の白馬に来ているというメッセージを突然受けて、それでは東京に戻ったときランチを一緒にしようということになった。

予約したレストランは飯田橋の大東京神宮近くのイタリアンレストランで、私が利用する地下鉄・九段下駅からは歩いて10分位である。レストランに向かうときは痛みを感じたものの、再会できることの嬉しさもあって余り気にすることはなかった。お互いに健康であることを喜び、昔話に花を咲かせて、美味しい料理を食べながら、楽しいひとときを過ごした。食事中は足のことを全く忘れていたが、帰り道では途中で休みたいと思うほどの痛みを感じた。

次の日は、立ち上がる時に強い痛みを感じるようになった。夕方に、近所の歯医者に行く予定が入っていた。長いこと通っていた歯科医院が廃業したため、通い始めた医院である。歯周ポケットがあるということで、その治療をしようということになっていた。なかなか人気のある歯医者のようで、一ヶ月半も待たされての治療となった。今回キャンセルすると、また、長いこと待たされそうなので、足の痛いのを我慢して治療を受けた。歩いて10分弱の距離のところだが、往きは痛みを感じながらもたどり着けた。歯周ポケットは少し深かったので、麻酔をしての治療であった。歯肉への注射は痛いという印象が強いが、ここではゲル状の表面麻酔を塗ってから注射をしてくれたので苦痛はほとんどなかった。歯石除去の治療が始まり、痛みを感じたら教えるようにと言われた。それよりも仰向けの姿勢からくる足の痛みのほうが心配で、治療のことを気にする暇はなかった。帰り道は少し強い痛みが出たため、途中でしばらく休んだ。私が住んでいるこの地域も高齢化の波が押し寄せていて、杖やカートに頼っているシニアが多い。このため、木に寄りかかって休んでも目立たなかったことと思う。

一ヶ月後には旅行が控えているので、整形外科に行った方が良いかなと考え、帰宅後にどのような治療になるのかをWEBで調べた。数年前にやはり足が痛くなり、整形外科で見てもらったところ、脊柱管狭窄症の始まりですかねと言われたことがあった。WEBでこの病気を得意としているところを調べてみると、整形外科だけでなく、整体院、整骨院、さらには手術だけを専門としているところなど、どのように選択したら良いのか困るほどたくさんあった。どれが本当に良いのか迷う。中には、長いこと治らないで困っていた患者さんを、特別な方法で元気にしてあげて感謝されたと宣伝している整体院もあった。溺れるもの藁をもつかむ状態の時は、このような施設を頼りにしかねないとも感じた。少し遠いが前に行ったことのある整形外科にとりあえず予約を入れた。

そして、次の朝はさらに痛みを感じる。これはまずいと思い、予約なしでも受け入れてくれるしかも馴染みでもある近くの整形外科に、開院時間少し前に駆け込んだ。強い痛みが左足太ももの前部にあると伝えると、とりあえず、腰椎と股関節のレントゲン写真を撮ってみようということになった。その結果、背骨が左右に蛇行していることと、腰椎の間隔が上部の方で縮まっていることが分かった。数年前にやはり足が痛くて診断してもらったときは、足の裏側だったそうである。今回は表側なので、原因が違うだろうということであった。腰椎は5個の椎骨から構成されていて、隣りあう椎骨の間から神経が出ている。腰椎上部の上の部分からは足の表側に、下の部分からは裏側に行く神経が出ているとのことだった。腰椎に原因があるとすると、上部が狭まっているためだろうと説明された。あるいは、股関節のほうに原因があるかもしれないので様子を見て、必要があればMRI検査をしましょうということになった。とりあえず、その後のリハビリと診察を予約し、痛み止めの薬ももらった。

診察を受けてからも、痛みは治まるどころか、ますます、激しくなってくる。あまりの痛さに、体を折り曲げて歩くさまとなった。診察4日後に、とても痛いので次の検診を待たずに診察して欲しいと電話すると、今日は担当の先生がいないので、明日来てくれということだった。5分程度のところなのに歩くことができず、車を運転してやっとのことで病院に行った。妻も一緒だったので、かなり大変な痛みなのだろうと容易に察してくれたようである。立ち上がった時に痛みが来るのは股関節の可能性が高いので、その部位のMRIを撮ろうということになり、その予約をすぐに取ってくれ、さらには座薬と飲み薬の痛み止めをもらった。

最近の医療機関は専門化が進んでいるようで、MRIやCTの撮影だけを専門に行う病院がある。その日の夕方に予約がとれていたので、タクシーで出かけた。病院の中に入ると、予約制のためなのだろう数人の患者しかいない。受付で紹介状を見せ、医師の問診を受け、MRIの部屋へと導かれた。仰向けになれますかと聞かれる。座薬の痛み止めが効いているので大丈夫そうなのだが、ダメですと言ったらどうなったのだろう。痛いときはその時と覚悟して、MRIの床に寝転ぶ。大丈夫そうである。次に、足の親指同士をつけてくださいと言われた。「えっ」と言いそうになった。我慢できない程ではないが、かなりの痛みを伴う。撮影には20分かかるそうで、この間はこの痛みからくる地獄に絶えなければならない。しかも動かないようにといわれている。痛みを忘れるために、ブログの記事を考えたり数学の問題を解こうとしたりと工夫を凝らすが、痛みの方が勝って思考が中断される。手元にはもしものためにとスイッチが渡されているのだが、押すわけにはいかない。もうこれ以上ダメだと思ったとき、終わりましたと天の声が聞こえた。この病院での診断結果も添えて、依頼先の病院に画像を届けてくれるとのことであった。

週が明け、痛みを感じ始めてから12日目に、MRIの診断結果を妻と二人で聞きに行く。MRIの病院の医師も、整形外科の医師も股関節に異常はないとの診断であった。重大なことが体の中で起きているわけではないようである。医者からは、長い時間、同じ姿勢で作業をし続けたのではないかといわれる。週末にリハビリと診断をしましょうと言われた。痛みの強さはMRI検査をした日(痛みを感じてから8日目)がピークであったようで、徐々に緩和されていて、この日は杖をついているものの、真っ直ぐに立って歩けるようになっていた。

週末に病院に行ったときは、立ち上がるときに痛みを感じるものの杖も使わずに普通に歩けるようになった。理学療法士のリハビリを受け、医者からも旅行に行っていいですよとの許可を得て、やっと安堵した。

今日で痛みを覚えてから19日目。痛みはほとんどなくなったものの、痺れが残っている。外出が大丈夫かどうかを試すために、マイナンバーカードを受け取りに市役所の地区センターへと出かけた。外の空気は美味しく、青空も見事なほどに透き通っていて、普段の生活のありがたさを十分に味わった。旅行まであと10日余り、普通に歩けるようになっていればいいのだがと願いながら、健康であることのありがたさを改めて感じた。