bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

ピーナッツかぼちゃの冷製ポタージュスープ

かぼちゃのポタージュスープの時期がやってきた。この料理がおいしいと感じるようになったのは、オーストラリアにいたころだと思う。戦時中、田舎に疎開していた母は、かぼちゃばかり食べていたせいもあって、かぼちゃは嫌いと言っていた。その影響をうけた子供の頃は、かぼちゃは何もない時に食べる野菜と思っていて、煮つけなどを食べても、おいしいと思うことはなかった。

その頃はごみ収集車もなかったので、家庭ごみは庭に捨てていた。春になると、前の年の種が残っていたのだろう。にゅきにょきとかぼちゃの芽が出て、あれよあれよというまに、庭中に茎が張り巡らされた。大輪の黄色い花を咲かせ、やがて立派なかぼちゃになったが、皮が堅いこともあって、そのまま庭に放置されてごろごろと転がっていた。これほど我が家では期待されていなかった。

オーストラリアのかぼちゃは、日本のそれと比べると甘みが少ない。むしろないといった方が良いくらいだ。オーストラリアの乾燥した風土ともあったのだろう。滞在中にいつの間にか、淡白なかぼちゃのスープを好んで食べるようになった。帰国して、日本でかぼちゃのスープを食したときは、甘すぎると感じた。そのこともあって、それ以降はすすんでかぼちゃのスープを注文することはなかったが、数年前に野菜売り場でピーナッツかぼちゃを見つけて、ポタージュスープを作ってからは、好みを変えた。

このかぼちゃは、見慣れた丸い姿ではなく、瓢箪のように下の方が膨らんでいる。バターのように滑らかで、ナッツのように甘いことからバターナッツかぼちゃとも呼ばれるが、店頭ではピーナッツかぼちゃとして売り出されている方が多いようだ。南アメリカ原産で、アメリカではポピュラーだそうだ。

ピーナッツかぼちゃは、日本の在来のかぼちゃと同じように甘みが強い。いや、もっと強いと思った方が良いだろう。初めてピーナッツかぼちゃをみたとき、そのかわいらしい形に惹かれて思わず購入し、店頭に紹介されたレシピに従って、スープを作ったところ、甘いにもかかわらずとても美味しいと感じた。この頃には、淡白なオーストラリアのかぼちゃスープの味を忘れてしまい、湿潤な気候にあった濃厚な味に嗜好が徐々に変わっていたことも一因だろうが、素直においしいと感じた。

これがきっかけとなり、ピーナッツかぼちゃを探しては、スープを作っている。今年も探し求めていたら、近くの農協の直売でたくさん売られているのを見つけた。今回はそれを用いての記事だが、実は一回失敗した後の、二回目の作品だ。スープにする時は、かぼちゃの実をペースト状にする必要があるが、一回目はフードプロセッサで試みた。残念ながら、粒々の状態になってしまい、食べたときの触感がいまいちだった。そこで今回はミキサーで砕いた。こちらからは見事に綺麗なペースト状のかぼちゃを得ることができた。

それではレシピを紹介しよう。野菜は主役のピーナッツかぼちゃと脇役の玉ねぎ、各一個だ。その他に、マギーブイヨン3個、水500cc、牛乳300cc、生クリーム、パセリだ。
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まず皮むき器でかぼちゃの表面の皮をむく。在来のかぼちゃと違って、皮は柔らかいので、簡単だが、手まで一緒にむかないように注意しよう。
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次に包丁で半分に切る。お店で見かける丸いかぼちゃだと、半分に切るときに手が滑って怪我をすることがあるが、ピーナッツかぼちゃは柔らかく、包丁が入りやすいので、怪我の心配は少ない。下部のふくらみがあったところに、種がある。
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スプーンで種を取り除く。前回、かぼちゃの皮を十分に取り除かなかったので、皮の繊維質が含まれてしまったことを思い出し、皮むき器でさらに丁寧に表面をむいて、黄色い部分が一様に現れるようにした。この段階で、かぼちゃは650gの重さだった。水や牛乳の量をこの重さで調整する。通常は、500gに対して、水400cc、牛乳200ccがよいと思う。今回は、水500cc、牛乳300ccにした。濃厚なスープを作りたいときはこれを減らすとよい。
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かぼちゃを一口大に切る。
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玉ねぎは薄切りに切る。
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水500ccでかぼちゃが柔らかくなるまで中火で煮る。
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粗熱を取った後、ミキサーでペースト状にする。
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牛乳300cc、マギーブイヨン3個を加えて中火で煮立てる。
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冷蔵庫で冷やして、夕飯に備える。
カップに移し、生クリームでアート作品を完成させた。
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パセリも加えて、食卓に供した。
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とても美味しかった。普段は水の量を少なくして濃厚なポタージュスープを作っているが、今回のはレストランで食するような濃さで、これもまた良かった。このスープは2日前につくったが、今日その残りを朝食に出したところ、もっと良い味になっていて、自賛だが、素晴らしかった。近いうちにまた農協に行ってピーナッツかぼちゃを仕入れてこようと思っている。