bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

津軽・弘前を旅するー最勝院五重塔

弘前城の桜を思う存分に楽しんだ後、南に1.5kmほど離れている最勝院五重塔*1を見学に行った。この五重塔は重要文化財に指定されている。弘前市のホームページによれば、次のように説明されている。「この塔は、寺伝によれば初代藩主為信の津軽統一の過程で戦…

津軽・弘前を旅するー禅林街

禅林街の案内板のタイトルは「史跡 津軽氏城跡 弘前城跡長勝寺構」で、弘前城の一部であることを示している。そして、そこには次のように記されていた。「戦国時代に堀越城を拠点として津軽統一を成し遂げた津軽藩祖為信が新城(弘前城)を計画し、2代信枚が…

津軽・弘前を旅するー弘前藩菩提寺・長勝寺

江戸時代の弘前藩主は津軽氏である。移封されることもなく、江戸時代ずっと続いた。菩提寺もずっと弘前にあったが、戦国時代には藩主とともに移動している。その菩提寺は長勝寺である。司馬遼太郎さんの『街道をゆく』の中の「北のまほろば」の中で、長勝寺…

津軽・弘前を旅するー弘前城と歴史

今回弘前を訪れた主な目的は、満開のソメイヨシノを心ゆくまで堪能することであったが、その他にもいくつかの目的があった。その一つは、小説や紀行文で興味深く描かれている弘前の地を踏み、そこの歴史に触れてみたいという願いであった。青森県は、江戸時…

津軽・弘前を旅するー弘前さくらまつり

これを逃したら二度とチャンスは訪れないだろうと、ちょっと大げさ過ぎるが危機感を抱き、すべての予定をキャンセルして(これも大げさ)、みちのくの弘前公園を訪れた。目的はもちろん満開のソメイヨシノを堪能することである。弘前公園は日本三大「桜の名所…

ジョシュア・ヤッファ著『板ばさみのロシア人』を読む

高校生の頃か大学生の頃か定かではないのだが、学生時代に感銘を受けた書物の中に、ルイス・ベネディクトさんの『菊と刀』がある。文化人類学に関心を持っていた頃で、国ごとにあるいは地域ごとに行動が異なるのはなぜだろうと疑問に感じていた。ベネディク…

辰野金吾設計の東京駅・駅舎を上から眺める

辰野金吾は明治を代表する建築家である。彼は嘉永7年(1854)に佐賀県に生まれる。工部大学校(東京大学工学部)の第一期生として入学し、ロンドン出身の建築家ジョサイア・コンドルに学び、明治12年(1879)に卒業した。英国に留学し、バージェス建築事務所、ロン…

早春の四国・中国旅行-美術館巡り・大原美術館

今回紹介するのは美術館。それも長い歴史を誇る民間の大原美術館である。岡山駅からは山陽本線を利用して倉敷駅で降り、さらに歩いて15分ぐらいのところにある。 開館はなんと昭和5年(1930)で、これから6年後には開館100年を迎える。創立者は倉敷の実業家・…

早春の四国・中国旅行-民俗芸能巡り・阿波踊り

鳴門大橋を渡ると、ここは四国・阿波国(徳島県)である。「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆あほなら踊らにゃ損々」の掛け声で始まる阿波踊りで有名なところである。今日では阿波踊りはブランド化されているので、何か特別な踊りのように思えるが、本を正せば盆…

早春の四国・中国旅行-民俗芸能巡り・淡路人形座

明石海峡大橋と鳴門大橋が開通して以来、淡路島を素通りする観光客も増えたようだが、今回は淡路島に立ち寄り、伝統文化を鑑賞することとした。最近は、淡路島と言われると、たまねぎを思い浮かべる。栽培が始まったのは130年前で、昭和39年には栽培面積が30…

早春の四国・中国旅行-寺院巡り・倉敷の神社(阿智神社・本栄寺)

四国・中国旅行の最終日は一人旅となり、かねてから訪れたいと思っていた倉敷の町に赴いた。前日までは案内してくれる友達に伴われての見学だったので、効率的に要所を見ることができたが、この日は足の赴くままである。とりあえずの目標を決めて、山陽本線…

早春の四国・中国旅行-寺院巡り・吉備津神社(備中一宮)

吉備国と言われたときに真っ先に思い出すのはなんだろう。奈良時代の学者・政治家で遣唐使でもある吉備真備を浮かべる人は歴史に興味のある人だろう。奈良から平安時代にかけての貴族で、道鏡が天皇になることを妨げた和気清麻呂を知っている人はさらに進ん…

早春の四国・中国旅行-寺院巡り・金泉寺(三番札所)

1番札所から始めて、順打ちに行けるところまで行こうと計画していたが、あいにくの雨ですっかりやる気が失せ、1番の霊山寺の後は2番を飛ばして3番札所だけを巡った。3番札所は金泉寺である。霊山寺からは歩いて50分ほど、車なら7分ほどのところにある…

早春の四国・中国旅行-寺院巡り・霊山寺(一番札所)

ここからは寺院巡りで、四国遍路に関連した寺から紹介する。四国遍路の由来は、四国八十八ヶ所霊場会のホームページで紹介されていて、それをまとめると次のようになる。古くから四国は国の中心地から遠く離れており、様々な修行の場であった。讃岐で生誕し…

早春の四国・中国旅行-城めぐり・備中高松城跡

城めぐりの最後の記事は備中高松城跡である。そこは知らないという人でも、羽柴(豊臣)秀吉が水攻めにした城と聞けば納得だろう。あるいは本能寺の変が起き、織田信長が自害したことを知った秀吉は、目にもとまらぬスピードで京へ引き返したが、その時に戦っ…

早春の四国・中国旅行-城めぐり・岡山城(烏城)

今度の記事は黒い城として知られている岡山城である。真っ黒いカラスになぞらえて烏城とも呼ばれる。この城の付近には旭川が流れていて、その流域には岡山、石山、天神山という三つの丘があった。戦国武将の宇喜多直家は、石山にあった城を手に入れて本拠地…

早春の四国・中国旅行-城めぐり・姫路城(白鷺城)

姫路城はよく知られているように日本を代表する城で、ユネスコの世界文化遺産に指定され、国宝でもある。是非見学したいと思ってはいたが、今に至るまで果たせずにいた。今回が初めての見学になるが、一緒に旅行する仲間から、ガイドをして欲しいと依頼され…

早春の四国・中国旅行-城めぐり・備中松山城(天空の山城)

大学時代の友人と姫路から淡路と讃岐を巡り、その後別れて、高校時代のクラスメートに案内されて岡山へと、全部で4泊5日の旅をした。これまでは旅行をしたときは経路に従って見学した場所を説明してきたが、今回はテーマごとに説明したいと思う。まずは今…

お台場の夜景を楽しむ

お台場に行った。それもフジテレビ本社の18階の食堂に行った。ここは夜景のきれいなところとして知られている。まずは写真から。中央左側の橋はレインボーブリッジ、左下の像は自由の女神像(ニューヨークの1/7のサイズ)。下半分のところに浮かんでいるのは屋…

江戸時代の学び方

歴史の同好会で年に一度の発表の時期が巡ってきた。昨年まではほぼ秋だったのが、今年はなぜか早春に回された。発表予定の順番が決まるのが12月も押し詰まった年末である。これまでは半年以上も時間をかけて構想を練ればよかったが、今年は短い期間の中での…

横浜北部で菜の花と桜を愛でる

先日、横浜市郊外の川和町で菜の花と桜がきれいに咲いている様子がテレビで紹介された。午前中になんとも消耗な会議に出席し、気が滅入ったので、憂さを晴らすべく帰りに立ち寄ってみた。場所は横浜市営地下鉄グリーンラインの川和駅で、2番出口からは目と鼻…

川崎市北部の五反田川に河津桜を見に行く

私が子供のころは、桜と言えば入学式と一緒に思い浮かべる光景だった。もう何十年も前になるが、この年は桜の開花が遅れて、4月12日に入学式をする大学に進学した私は、希望にあふれた祝いの日を、綺麗に咲きそろった桜に囲まれて寿いだ。しかし近頃は、気候…

日銀・東証を訪れる

あるグループの仲間と連れ立って、金融の中心である日本銀行と東京証券取引所を中心に、日本橋と兜町の界隈を散策した。東京駅の日本橋口に、通勤時間帯さなかでの集合であった。最近は通勤ラッシュの時間帯に出かけることはないので、どの程度の込み具合か…

證菩提寺の阿弥陀三尊像を鑑賞する

昨年の今頃、證菩提寺*1を紹介したが、その中で国の重要文化財の阿弥陀三尊像について簡単に触れた。その三尊像が横浜市歴史博物館の「横浜市指定・登録文化財展」で展示されている。しかも撮影もOKということなので、早速出掛けた。まずはお揃いのところか…

千葉市美術館で「鳥文斎栄之」展を鑑賞する

鳥文斎栄之(ちょうぶんさいえいし)は、旗本出身で、10代将軍家治が逝去(天明6年(1786))し、田沼意次が老中を辞したころの時代の変わり目に本格的に活動を始めた絵師である。喜多川歌麿と拮抗して活躍したが、栄之の作品の多くは明治時代に海外に流出した。こ…

神奈川県立歴史博物館で「華ひらく律令の世界」を見学する -仏具-

前回のブログでは国や郡の有力な初期寺院を紹介したので、今回はこれに次ぐ寺院からの出土品を中心に説明する。国分寺の造営によって仏教は地方に浸透し、8世紀から9世紀にかけては集落に隣接した場所で、仏教寺院が建立された。このようなものを「村落内…

神奈川県立歴史博物館で「華ひらく律令の世界」を見学する -寺院の瓦-

国や郡の役所については前回のブログで記したので、ここでは国や郡に建立された有力な寺院をみていこう。ここで紹介する神奈川県内の有力な初期寺院は、国分寺、下寺尾廃寺、千代廃寺、影向寺、千葉地廃寺、宗元寺である。これまで下寺尾廃寺、影向寺、千葉…

神奈川県立歴史博物館で「華ひらく律令の世界」を見学する -国衙・郡家-

神奈川県立歴史博物館で、律令制の時代を中心とする遺跡展が開催されている。律令制下での神奈川県は、西の地域が相模国、東が武蔵国であった。律令制では国の下部組織として郡が置かれた。相模国には8郡、武蔵国には22郡が設けられそのうちの3郡が現在の神…

ビッグな1ポンドステーキを料理する

今年になってからあまり車を使っておらずバッテリーが上がってしまうと困るので、それを避けるため遠出の買い物をしようということになり、普段あまり使っていないスーパーを訪れた。野菜や魚を買い物かごに入れた後に物色していた肉売り場で、普段は見かけ…

横浜市歴史博物館で「ヨコハマの輸出工芸展」を観る

横浜市歴史博物館で、ヨコハマの輸出工芸展が開催されていたので、見学に行ってきた。現在でこそ、横浜は日本を代表するような巨大都市となっているが、幕末の頃は小さな寒村に過ぎなかった。ペリー来航後に開港の地と定められると、外国人のための居留地が…