bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

早春の四国・中国旅行-美術館巡り・大原美術館

今回紹介するのは美術館。それも長い歴史を誇る民間の大原美術館である。岡山駅からは山陽本線を利用して倉敷駅で降り、さらに歩いて15分ぐらいのところにある。

開館はなんと昭和5年(1930)で、これから6年後には開館100年を迎える。創立者は倉敷の実業家・大原孫三郎である。大原孫三郎はパトロンとして洋画家の児島虎次郎を援助していた。また児島虎次郎に西洋近代美術、古代エジプト西アジア美術品の収集を託した。そしてこれらの収集品を展示するために美術館を開館した。今でこそ国内には何百という美術館が存在するが、この当時としては珍しく、しかも民間であることにとても意義がある。

大原美術館には、エル・グレコの『受胎告知』、モネの『睡蓮』、ルノワールの『泉による女』、ゴーギャンの『かぐわしき大地』、ミレーの『グレヴィルの断崖』、セザンヌの『水浴』など、すぐれた作品が展示されている。撮影は許されていないので、残念ながらこれらの作品の紹介はできないが、建物はもちろんOKであった。

本館入口。本館は総社市出身の薬師寺主計(かずえ)により設計された。イオニア式柱を有する古典様式である。

工芸・東洋館。中国陶器や棟方志功などの作品が展示されている。

倉敷川の橋を挟んで、大原美術館の前には語らい座大原本邸(国重文:旧大原家住宅)がある。

さらにその隣には有隣荘がある。大原孫三郎の私邸兼迎賓館であった。大原美術館と同様に、薬師寺主計が設計した。

大原美術館倉敷美観地区の中にある。美観地区の風景も美術館に劣らず見ごたえがある。

倉敷観光案内所。大正6年(1917)に倉敷町役場として建てられた洋風の木造建築である。

倉敷川。倉敷の地名は倉敷地-中世に荘園領主や中央官衙などの貢納物を納めた倉庫の敷地-に由来するといわれている。この川は倉庫への物資の輸送のために使われたことだろう。

井上住宅。倉敷美観地区内では最古の町屋で約300年経っている。倉敷窓といわれる窓には、防火用の土塗りの扉があり、倉敷市内に唯一現存している。

美観地区の街並み。いつもはインバウンドの人々でごった返しているのだろうが、朝早くでしかも雨のため人っ子一人いない。おそらく珍しい光景であろう。

別の街並み。ここも人影はほとんどなしである。

美観地区。中央の建物は倉敷公民館。軒高を抑えて設計、外壁は白壁と小さな窓、倉敷格子、貼瓦などで倉敷美観地区の伝統的な街並みを意識して建てられた。右の建物は、中国銀行倉敷本町出張所。第一合同銀行の倉敷支店として大正11年(1922)に竣工したルネサンス風の建物で、やはり薬師寺主計が設計した。

大原美術館の紹介はこれで終わりである。美術館としては、この他に、鳴門市にある大塚国際美術館を訪ねた。昨年も訪れているので、その詳細は昨年の記事を参照して欲しい。今回は、3種類の定時ガイドに参加した。

到着とともに、ガイドしてもらったのが、システィーナ礼拝堂天地創造」・「最後の審判」であった。システィーナ礼拝堂は、ローマ教皇公邸のバチカン宮殿にある礼拝堂で、サン・ピエトロ大聖堂の北隣にある。その内壁は、ミケランジェロボッティチェッリ、ペルジーノ、ピントゥリッキオらによって描かれた絵画で飾られている。とくにミケランジェロが、ローマ教皇ユリウス2世からの注文で描いた天井画(1598~12年)と、クレメンス7世が注文し、パウルス3世が完成を命じた最後の審判(1535~1541)は有名である。大塚国際美術館には、システィーナ礼拝堂を再現し、ミケランジェロの絵画が復元されている。ガイドの方からは、天井画に描かれている天地創造と、正面に描かれている最後の審判の絵画について、キリスト教についてあまり詳しくない人でも理解できるように、とても分かりやすく説明してもらった。とても上手だったので、写真を撮るのも忘れて、聞くことに集中した。

さらに「B3(古代・中世)、B2(ルネサンスバロック)の見どころ5点」と「人気作品ベスト7」のガイドをしてもらった。人気順に挙げると、モネ「大睡蓮」、ダ・ヴィンチモナリザ」、フェルメール真珠の耳飾りの少女」、④ムンク「叫び」、⑤システィーナ礼拝、⑥ゴッホ「ひまわり」、⑦クリムト「接吻」であった。この二つのガイドともたくさんの観客を連れてのガイドで、人の間から絵画をやっと見るので精いっぱいであった。

今回の四国・中国地方の旅は4泊5日で、
一日目は姫路城・兵庫県立歴史博物館、
二日目はうずの丘大鳴門橋記念館公園「おっ玉葱」・淡路人形・鳴門市ドイツ館・一番札所霊山寺・三番札所金泉寺
三日目は大塚国際美術館
四日目は備中松山城備中高松城吉備津神社吉備津彦神社、
五日目は阿智神社・本栄寺・大原美術館倉敷美観地区岡山城
を見学した。
地図で大まかに示すと、

天気の方は初日だけ晴天、残りはほとんどが雨か曇りで、天気に恵まれたとは言えない。例年だと桜を楽しめる時期なのだが、今年は遅れていて、一輪も咲いていなかった。それにも関わらず予定したところはほとんど見学ができ、旧交を温めることもでき、良い旅であった。