今回の旅行の最後の宿泊地は秋保温泉である。奥州三名湯の1つとして数えられ、大和物語や拾遺集に名取の御湯と歌われた温泉である。その起源は1500年ほど前までさかのぼり、時の帝の欽明天皇が疱瘡(天然痘)に罹ったとき、治癒を祈祷したところ、奥羽秋保の温泉湯浴みすればよいと告げられたとのことである。
秋保温泉には、景勝地として知られた磊々(らいらい)峡がある。仙台市教育委員会が作成した案内板(一部変更)には、「奥羽山系二口渓谷より発した名取川は、この場所で急に川幅を狭め、急流となったりあるいは勢いを緩めて紺碧の深淵となったりする。両岸は秋保石と呼ばれる石英石質凝灰角礫岩*1よりなっていて、奇岩・怪石が磊々と重なり合い、奇面岩・八間岩・鳴合底・猪跳岩などの奇勝、さらに雨滝・糸滝など懸崖敷布して、一層景勝を豊かにしている。昭和6年小宮豊隆しにより磊々峡と命名された」と説明がある。
暖かな陽が差し込む朝、すがすがしい気分で磊々峡を散策した。しかし、真横に近い状態で朝の光が当たったため、光と影がまだら模様になり、あまり良い写真は撮れなかった。小さな渓谷を楽しむには十分ではないが、これよりはきれいだと想像しながら、鑑賞して欲しい。
東北はもうすぐ紅葉の季節を迎える。磊々峡も一段と美しさを増すことだろう。このような時期に訪ねられれば良いのだがと思いながら、今回の城柵巡りの旅を終えた。
今回の旅行に当たっては次のようなパンフレットを作製した。