bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

秋深き伊豆修善寺を訪れる

11月末(27日―30日)に別荘の冬仕度をするために伊豆に出かけた。旅行する3日前(24日木曜日)には、東京では観測史上初の11月の積雪を記録した。我が家の庭もちょっとした風情を感じさせる冬景色になった。
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伊豆は暖かいところと思われがちだが、別荘のある地帯は箱根と同じように冬は厳しい。まだ、雪が残っているのではないかと心配して出かけたのだが、案の定、登っていくうちに道端の雪が増えてきて、駐車場の入口は吹き溜まりの雪で封鎖されていた。仕方なく、到着した日は雪かきに精を出すことになってしまった。ベランダにもたくさん残っていたので、記念に写真を撮った。
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次の日は伊豆修善寺の虹の郷を訪れた。昨日までライトアップしていたとのこと、まだ十分に楽しめた。日本庭園の近くのもみじは下り7分で、地面も朱色に染まっていて、深まり行く秋の景色を醸しだしていた。
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今年は、夏目漱石没後100年で、漱石にちなんだ話をあちらこちらで耳にする。NHKは「夏目の妻」を放映した。漱石の妻は悪妻として知られているが、尾野真千子は、癇癪持ちの漱石に耐えながらも、段々に自己を確立していくチャーミングな女性を演じた。表情がとても豊かで、ほのぼのとした温かみを感じさせてくれ、上手な女優さんだなと感心した。そのドラマの中で、夏目の胃潰瘍が悪くなり、修善寺の旅館で、妻鏡子の手厚い介護のもと療養する場面がある。そのとき滞在した旅館の一部(漱石が滞在していた部屋を含む)が虹の郷に移築されている。里山の佇まいを感じさせ、移築前よりも美しい背景の中に溶け込んでいるのではと想像させられる。
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日本庭園にほど近い匠の村はこれかららしく、まだ、緑が多かった。
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少し離れたところには、二季咲きの桜があったが、冬が迫っている冷たい空気の中、ただ寂しい。
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3日目は、修善寺の温泉街に出かけた。最初に、空海(弘法大師)が平安時代初期(807年)に開基した修禅寺を訪れた。最近の観光地は、外国人か老人で占められているが、ここは後者で溢れていた。
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修禅寺の庭園が運よく開園していたので、立ち寄った。
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伊豆は源頼朝が流された地のため、各所に源氏ゆかりの遺跡がある。修善寺も例外ではないが、しかし、暗い印象を伝えるものが多い。

二代将軍頼家は北条氏との政争に敗れて修善寺に流され、北条時政により入浴中に殺害された。彼の墓は温泉街の中心部の近くにある。
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そのそばには、母の北条政子によって、供養のために建立された指月堂がある。
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また、温泉街のはずれの山の麓に頼朝の弟の範頼の墓がある。範頼は義経とともに木曽義仲平氏の討伐に功績を挙げた武将である。二人とも、朝廷から官位を受けたために頼朝から疑われ追われる身となる。範頼は修善寺に幽閉され、梶原景時に攻められ、自害する。
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二人の武将の非業の死を悲しむように修善寺のもみじは鮮やかな朱色であった。
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