bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

随伴関手 - 随伴から導き出される可換図

7.6 随伴から導き出される可換図

随伴の定義からどのような可換図が導きだされるかを考えてみよう。随伴の定義は次のようになっている。

二つの局所的に小さな圏\(\mathcal{C},\mathcal{D}\)において、関手の対\(R: \mathcal{C} \rightarrow \mathcal{D}, L: \mathcal{D} \rightarrow \mathcal{C}\)が三角恒等式を満たす次の射\(\xi,\mu\)を有する時、随伴であるという。

\begin{eqnarray}
\xi : L \circ R \rightarrow I_\mathcal{C} \\
\mu : I_\mathcal{D} \rightarrow R \circ L
\end{eqnarray}

そこで、この式を用いて\(L\)を変形してみよう。

最初に、\(L\)は\(L \circ I_\mathcal{D}\)に変形できる。次に、\(\mu : I_\mathcal{D} \rightarrow R \circ L \)を用いて、\( L \circ R \circ L \)に変形できる。さらに、\(\xi : L \circ R \rightarrow I_\mathcal{C} \)を用いて、\( I_\mathcal{C} \circ L \)に変形できる。これは、\( L \)と同じである。

式の変形を可換図で表すと下図の左側を得る。
f:id:bitterharvest:20180523093928p:plain

同様に、\(R\)で始めると、
\begin{eqnarray}
&&R \\
&=& I_\mathcal{D} \circ R \\
&=& R \circ L \circ R \\
&=& R \circ I_\mathcal{C} \\
&=& R
\end{eqnarray}
をえる。これを可換図にしたのが、上図の右側である。

この二つの可換図は、英語ではTriangle Identitiesと呼ばれている。

上の可換図は、関手をベースに考えたが、圏をベースに可換図を描くと次のようになる。
f:id:bitterharvest:20180523094001p:plain

随伴の定義をウィキペディアで調べると、違う方法で定義されることが分かる。次回は、この話をしよう。