bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

横浜北部で菜の花と桜を愛でる

先日、横浜市郊外の川和町で菜の花と桜がきれいに咲いている様子がテレビで紹介された。午前中になんとも消耗な会議に出席し、気が滅入ったので、憂さを晴らすべく帰りに立ち寄ってみた。場所は横浜市営地下鉄グリーンラインの川和駅で、2番出口からは目と鼻の先である。

桜の木は一本だけなのだが、薄紅色に綺麗に咲いていて、菜の花の黄色とのハーモニーが素晴らしい。桜の種類は「大漁桜」で、原木は熱海市網代漁業組合の網干場にある。花の色が鯛の色に似ているのでこの名がつけられたそうである。角田春彦さんというかたが作られた品種で、早咲きの大島桜の種を熱海市営農場で種まきし、育成した苗から選別されたそうである。すべての花に旗弁(花の内側に旗をあげたような小さな花びら)があるそうだ。
別の角度から、

さらに別のところから、右の白い駅舎は川和駅である。

また、中央と左の葉を落としている樹木はシドモア桜である。エリザ・R・シドモアさん(1856~1928)は、アメリカの著作家・写真家・地理学者で1885年から1928年にかけて日本をたびたび訪れて、"Jinrikisha Days in Japan"(『日本・人力車旅情』・『シドモア日本紀行:明治の人力車ツアー』)を始めとして、日本に関するいくつかの本を出版されている。1885年にワシントンに帰国する際にワシントンDCに日本の桜を植える計画を着想したが、その後彼女の関心は他の方に向かってしまった。彼女の計画が現実となったのは、1909年に大統領となったウィリアムス・タフトの妻ヘレンが興味を示したことによる。そして西ポトマック公園(Tidal Basin of the Potomac River)などに植えられた*1。1991年に、横浜外人墓地にあるエリザの墓碑の傍らに里帰りした桜が植えられ、シドモア桜と名付けられた。川和のこの地には2012年春に植えられた。今年も3月末にはきれいに咲くことだろう。

桃の花と思われるが、早春を迎えたもう一つの光景があった。

そして最後は一面の葉の花畑。

シドモア桜が咲くころまで、菜の花がこの美しさを保ってくれることを願って、帰路についた。

*1:3月14日のCNNによると、タイダルベイスン周辺では、防波堤補修のために桜の木160本が伐採されるとのことである。また補修後には桜274本を含む450本余りが植樹されるそうである。