bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

家族システムの変遷(II) ケーススタディー:律令制成立期における天皇家

高校時代に日本史を選択しなかったので、知識不足を感じて勉強を始めた。このため、最近はやりの「学び直し」には当てはまらない。「退職してから始めた日本史」というべきものだ。昨年に続いて、日本史を趣味としている研究会で、これまでの成果を発表した。昨年からの継続で「家族システムの変遷」である。前年は縄文時代を取り上げたが、今年は律令期の天皇家を選んだ。家族システムは、大別すると、核家族、直系家族、共同体家族の三つである。白村江での戦いに敗れた倭国は、唐から律令制度を導入し、中央集権国家を目指す。しかし、当時の倭国の家族システムは核家族であった。これに対して唐は共同体家族に移っていた。家族システムは組織を構成する最小の単位であり、その上に出来上がる社会の組織は、家族システムからの考え方に大きく影響されると思う。このため、共同体家族の考え方を有する唐の律令制度を、核家族倭国に導入するためには大きな障害があり、それを解消するために様々な工夫がなされた。特に律令制度の導入を率先した天皇家は、大きな影響を受けたはずである。これについて論じたのが、今回の論文である。