高校時代に日本史を選択しなかったので、知識不足を感じて勉強を始めた。このため、最近はやりの「学び直し」には当てはまらない。「退職してから始めた日本史」というべきものだ。昨年に続いて、日本史を趣味としている研究会で、これまでの成果を発表した。昨年からの継続で「家族システムの変遷」である。前年は縄文時代を取り上げたが、今年は律令期の天皇家を選んだ。家族システムは、大別すると、核家族、直系家族、共同体家族の三つである。白村江での戦いに敗れた倭国は、唐から律令制度を導入し、中央集権国家を目指す。しかし、当時の倭国の家族システムは核家族であった。これに対して唐は共同体家族に移っていた。家族システムは組織を構成する最小の単位であり、その上に出来上がる社会の組織は、家族システムからの考え方に大きく影響されると思う。このため、共同体家族の考え方を有する唐の律令制度を、核家族の倭国に導入するためには大きな障害があり、それを解消するために様々な工夫がなされた。特に律令制度の導入を率先した天皇家は、大きな影響を受けたはずである。これについて論じたのが、今回の論文である。