bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

家族システムの変遷(IV) 源氏物語より平安時代の家族システムを探る

今年は残暑が厳しいと感じていたら、突然に秋がやってきて、北海道からは雪の便りが伝えられ、季節の急激な変化にビックリしている。同じように、あれほど多くの人に脅威を与えたコロナウイルスも、驚くほどの速さでしぼみ始めている。このまま続いてくれるといいのだがと期待しているのだが、果たしてどうだろう。

長いこと閉会していた歴史が好きな仲間の集まりも、久しぶりに開催された。去年の秋に発表する予定だったが、遅れに遅れてやっと昨日、話をした。題は「源氏物語より平安時代の家族システムを探る」であった。源氏物語は、藤原道長が栄華を極めた摂関期に、紫式部が書いたものだ。15年ぐらい前に日本経済新聞に掲載された渡辺淳一の小説と同じように、ホワイトカラーの人々に代わって当時の貴族たちが、新しい巻の出来上がりを今か今かと待ち望んで読んだことだろう。物語の中に出てくる人物が誰なのかを推察しながら、心を躍らせたりあるいは不安に駆られたりして、密かに楽しんだことだろう。源氏物語に描かれている恋愛はフィクションで、そうとうに大げさに書かれているだろうが、ここで繰り広げられている日常は、実際の生活に近いものと考えられるので、当時の日常を再現するのには打ってつけである。

そこで物語の中からこの時代をあぶりだし、かつて高群逸枝さんが「招婿婚」と言っていた家族システムを検討してみた。その結果、結婚当初は妻方に居住するものの、生活が成り立つようになると自立することが判明した。結婚の時期を強調すると招婿婚だが、人生全体を通して観察すると、エマニュエル・トッドの細分類での「一時的母方同居を伴う核家族」に該当するいうことが分かった。このことを詳しく説明したのが以下の資料である。