bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

お餅を焦がさずに綺麗に焼く

今年の正月は、能登半島地震羽田空港事故と大きな災害・事故が立て続けに起きた。羽田事故では、日航機と海保機とが衝突、両機とも炎上し、海保機の乗員5人が亡くなられ残念なことになったが、日航機の乗客・乗員には十数人のけが人がでたものの大事にはいたらず幸いであった。大事故にもかかわらず、最悪の事態が避けられ、奇跡的であった。乗員たちの的確な行動は称賛に値するものである。

他方、能登半島地震は、大きな被害をもたらし、輪島の有名な朝市の場所は全焼、輪島市珠洲市・能都町では木造家屋が多数倒壊、津波による被害もあった。今回の地震のメカニズムがNHKニュースで紹介されていた。原因は地下に潜り込んだ流体だそうだ。

これまで起きた地震は、プレート同士がぶつかり合っているところで、強い力が生じることによって生じると説明されてきた。昨年は、関東大震災が起きて100年目で、そのメカニズムが詳しく紹介された。そのときも、フィリピンプレート・太平洋プレート・北アメリカプレートの岩盤が複雑に重なり合って生じたとされていた。

しかし今回は流体によって引き起こされたという。一人の意見だけではないようだ。西村卓也・京都大学防災研究所教授、加藤愛太郎・東大地震研究所教授、石川有三・静岡大客員教授、平松良浩・金沢大教授、後藤忠徳・兵庫県立大教授、中島淳一東京工業大教授など何人もの研究者がそのように説明している。私が知らなかっただけで、専門家の間では常識となっていたようだ(東工大から地殻流体に誘引されている能登半島群発地震の記事が2022年に公開されている)。

西村教授によれば、今回の地震の発生地点では、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでいて、そこでは海側のプレートから入り込んだ海水が豊富に蓄積され、それが上昇して断層帯に入り込んでスリップを生み、巨大な地震が発生したと説明されている。海側のプレートは太平洋側で沈み込んでいるので、入り込んだ海水は太平洋側のもの。それが災害を起こした場所は、列島を横断して、日本海沿岸。随分と離れたところで、地震に関わる因果関係があるのにびっくりした。

ここから話題がとても小さくなって恐縮だが、お正月にお餅を焼くのにてこずっている人は少なくないことだろう。私もその一人で、オーブントースターの中が汚れてしまうのにいつも頭を悩ませていた。でも今年はこれから解放された。暮れにテレビを観ているときに、焦げないお餅の焼き方を紹介していたので、正月はこれに挑戦した。

作業はとても簡単。お餅に醤油を2,3滴たらすだけ。後は普通に焼けばよい。
4つのお餅を用意して、それぞれに醤油を2滴たらす。

オーブントースターに入れる。

プッと膨れるまで、お餅を焼く。1000wで8分であった。焦げていないお餅が出来上がる。

お椀に移す。

お雑煮にする。

原理は打ち水と同じである。この習慣は昔物語になっているかもしれないが、真夏の暑い昼下がり、涼を取るために、庭や道に水を撒いて、直後に訪れる冷たい雰囲気を楽しんだ。これは水が蒸発するときに、周りの熱を奪っていくことを利用したものである。気化熱とも蒸発熱とも呼ばれている物理現象である。

今回のお餅を焼くのも、これと同じ原理で、醤油が気化するときに周りの熱を奪うので、周囲は焦げることから免れる。地震を起こした塩水、美味しい焼餅の醤油、同じ水に絡んだ話だったが、使いようである。