今日、紹介する料理は、イギリスの伝統的な家庭料理、コテージパイ(Cottage Pie)だ。ウィキペディアによれば、この名前が使われるようになったのは1791年で、このころ、ジャガイモが貧困層でも利用できるようになった。
ジャガイモは、ペルー南部のチチカカ湖畔が発祥とされている。ヨーロッパに伝わったのは1570年ごろで、スペイン人が持ち込んだ。その普及は緩やかだったようで、本格的にヨーロッパで栽培されるようになるのは18世紀半ごろ、栽培の推進をしたのはプロイセン王のフリードリッヒ大王である。また、同じころ、アイルランドでは小作農家がジャガイモの栽培を行うようになり、急激にその依存度を高くした。おそらく、この時期に、ジャガイモを利用したコテージパイが食卓に上がるようになったのであろう。
コテージパイはいたって調理が簡単な料理だ。ひき肉を玉ねぎとにんじんと一緒に炒め、その上にマッシュポテトをトッピングして、オーブンで温めるだけだ。料理に使う材料は以下のものだ。
主なものは、牛ひき肉(300g)、ジャガイモ5個、玉ねぎ1個、ニンジン1本だけ、残りは味付け用なので、好みに応じて変えてもよい。
最初に用意するのは、マッシュポテト。ジャガイモの皮をむき、
大きさが均等になるように、1個のジャガイモをそれぞれ12等分する。
今回は、これらをラップして、電子レンジの「茹で根菜」という機能を利用して、調理した。
中まで火が通っていれば、ラップの上に厚い布をかぶせ、指で押せば、マッシュポットができる。今回は、少し硬かったので、中華料理のレンゲの底で押してつぶした。
つぶしている途中で、牛乳大匙2杯、バター10g、塩、黒胡椒をそれぞれ小さじ1/4を混ぜ、マッシュポテトに味付けをする。
玉ねぎ1個とにんじん1本はそれぞれみじん切りにする。
フライパンを温め、オリーブ油をひいて、牛ひき肉を色が変わるまで炒める。
さらに、玉ねぎを混ぜて、これが透明になるまでさらに炒める。
塩小さじ1、黒胡椒を加え、さらにローリエ、ニンジンを加えて、1分ほど炒めた後で、80ccのお湯にマギーブイヨン1個を溶かし、これを加える。
さらに、薄力粉大匙2杯を茶こしを使ってまんべんなくまぶし、トマトペースト(6倍濃縮)を一袋(18g)加えて、水分がなくなるまで、さらに炒める。
にんじん、玉ねぎと一緒に炒めたひき肉を、耐熱皿に移し、平らにする。
その上に、マッシュポテトをのせる。
190度に熱したオーブンで、これを20分間ほど温める。
野菜を付け合わせにして、食卓に出す。今回はインゲンにした。
コテージパイの断面はこのようになっている。
年末の忙しい時期には料理にあまり時間をかけられないので、手間のかからないコテージパイは手ごろな料理である。
今回は、ひき肉に牛を用いたが、イギリスではラムやマトンを用いることもある。この場合には、シェパーズパイ(shepherd's pie)と呼ばれる。トライしてみたいのだが、ラムのひき肉が入手しにくいのが問題だ。