毎日新聞の記事によれば、秦野市の菩提横手遺跡で貴重な中空土偶が発掘されたということで、横浜市歴史博物館に見学に行った。入口からり、受付の横の階段をのぼると常設館への通路がある。その壁面に沿って、2018年度のかながわ考古学財団の調査で発見された遺物が所狭しと展示されている。その中で一つだけガラスケースに納められているのが、今回発見された中空土偶だ。高さが25cm、幅が12cmと大型だ。毎日新聞の記事の中で、日本大学大学院の鈴木保彦講師が「新型式と認定できるユニークなもので、重要文化財クラスの優品と評価できる」とコメントしている。
同様な土偶は、神奈川県では綾瀬市上土棚南遺跡、平塚市王子ノ台遺跡 で発掘されているが、顔や腰から下の部分がないなどで全体像が不明であった。今回発掘された土偶は、左足の一部と左腕を欠いただけのほぼ完全な姿で発見され、貴重な文化財だ。この土偶は、縄文時代後期前葉から中葉(約3500年前)のものだ。
写真は横浜市歴史博物館のツイッターに、左側が今回発見された中空土偶だ。
こちらが話題話題の秦野市菩提横手遺跡出土の中空土偶です。なんと今年5月に出土したばかりのホヤホヤ、初公開です!常設展示室の筒形土偶(横浜市原出口遺跡出土)とぜひ見比べてください。 #縄文 #土偶 #かながわ考古学財団 #横浜歴博 pic.twitter.com/iVIxbOxutR
— 横浜市歴史博物館 (@yokorekihaku) 2018年7月3日
正面から見ると、
顔は天井を見つめていて、大きく口を開けている。胴は筒型、足は銅より太い。
右側面から見ると、
足が大きく自立できることが分かる。後頭部が随分と後ろに豊かについているのも特徴だろうか。また、のどの下あたりの随分高い位置についているが、胸が突起のように出ていることに気がつく。この土偶もまた、他のこれまでに発見されている土偶と同じように、女性を表していることが分かる。
たまたま時を同じくしてトーハク(東京国立博物館)で、『縄文―1万年の美の鼓動』が開催されており、8月からは、「縄文のビーナス」をはじめとして、国宝に指定されている全ての土偶が、一堂に会するそうだ。近い将来、この土偶も仲間入りできれば、この製作者も発掘者も報われることだろう。