bitterharvest’s diary

A Bitter Harvestは小説の題名。作者は豪州のPeter Yeldham。苦闘の末に勝ちえた偏見からの解放は命との引換になったという悲しい物語

東北北部縄文の旅:大湯ストーンサークル

東北北部縄文の旅も3日目、いよいよ最終日だ。最後の日ぐらいは顔を見せないとまずいと思ったのだろうか、岩木山がその雄姿を見せてくれた。
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大鰐スキー場の方はもう少しの辛抱だ。たくさんのスキー客をリフトで釣り上げるための準備も整っていた。
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この日は縄文時代後期前半の大湯ストーンサークル(秋田県鹿角市)と、中期後半の御所野遺跡(岩手県一戸町)を見学した。
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昨日見学した三内丸山遺跡は、大集落を形成し、最盛期には500人もの人々が住んでいたと考えられている。そしてこれから訪れる御所野遺跡も似ている。これらの遺跡は中期のもので、条件が整えば大きな集落で生活していたようだ。しかし4,200年前になると気温は2℃も低下し、人々は大集落を放棄した。これは大集落を支えていたクリなどの生産性が低下したためだろう。そして分散して小集落に住むようになった。しかし大集落を営んでいたころの部族の絆を維持するために、共同の墓地を造ったと考えられている。大湯ストーンサークルはその顕在化だろう。

大湯ストーンサークルは、空から見たほうが分かりやすい。次の航空写真に、二つの丸い円があるが、これが大湯ストーンサークルだ。左側が万座環状列石、右側が野中堂環状列石だ。それぞれ2重の環になっていて、最大径は52mと44mである。万座環状列石の周りには、建物が建っているのも分かる。写真にはないが、上部の方に大湯ストーンサークル館がある。
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では見学を始めよう。はじめに大湯ストーンサークル館に入り、ここの遺跡から出土した土器などを見学した。棚にはたくさんの土器が陳列されていて、左側は深鉢型土器で、右側は壺型土器である。
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中央の展示には特徴がある。水をさす時に使ったのだろうか、右側の土器は有孔土器である。
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形状に特徴がある深鉢型土器。上部が尖がっていて、おしゃれだ。果物入れにして食卓に置くのによさそうだ。f:id:bitterharvest:20191127105227j:plain
次は切断土器。上部は蓋として用いたのだろう。
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棚から特徴的な土器をピックアップしよう。模様がユニークな壺型土器だ。
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またまた模様の美しい土器。
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外の国から来たのかと思うほど、デザインがあか抜けている壺型土器。
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多様な用途に向けて、土器の種類が増えたのであろう。注口土器。
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中央の展示に戻って、数を表していると言われている土版。
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その他にも土製品があった。
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これも土製品だ。土偶の一種のようにも思えるが、いまいち用途が分からない。
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あの世で生活できるように、道具を用意したのだろうか。ミニチュア土器もあった。
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同じ用途なのだろうか。鐸型土製品である。
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縄文時代の道具で、石斧と弓矢。
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いよいよ野外の見学だ。縄文時代の林が再現されていた。クリ、ブナ、トチノキ、コナラ、ミズナラ、オニグルミ、ガマズミ、ウグイスカズラなどが植えられているようだ。
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万座環状列石の遠景だ。列石を囲んだ掘立柱建物がこの場所を際立たせてくれる。
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万座環状列石の内部だ。石が塊を作りながら置かれているのが分かる。環状列石は、この写真からは分かりにくいのだが、二重の環になっている。真ん中にある石が内側の環を構成し、手前にある石が外側の環を構成している。
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別の角度から見ると、
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外側の環をよく見ると、いくつかにグループ化され、それぞれのグループは小さな石の環を形成していることが分かる。
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万座環状列石から外れて、奥の方に目を凝らすと5本柱建物が見える。写真ではわかりにくいが、中央左に棒が建っているように見えるのがそれである。用途は分かっていないようだ。
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掘立柱建物に近づいてみる。
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日時計だろうか。真ん中に石の柱が立っている。
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次は、野中堂環状列石だ。遠景は
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万座環状列石と比較すると石の数が少ない。近づいてみると、二重の環になっていることがはっきりと分かる。また、環と環との間に日時計があることも分かる。
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さらに大写しにしてみよう。
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大湯ストーンサークルは、地上から見るよりも、高台からあるいは空から見たほうが、全容がはっきりしてよさそうだ。館内に上空からの動画を見せてくれる設備があればと思った。
さて、次は今回の最終訪問地である御所野遺跡だ。